14年の介護キャリア、100箇所以上の様々な施設を知る藤井寿和さんが「介護の現場で長く楽しく働くヒケツ」をアドバイスするシリーズ。
人手不足や自らの経験不足のため十分な生活支援ができていないことに悩む、新卒介護職員hisaeさんからの相談です。
食事して寝るの繰り返しから脱却するには?
人手不足は多くの施設でも慢性化しています。ただ、あなたはまだ3ヶ月ですから、業務を覚え、仕事に余裕が出てくるここからが本領発揮です。食事を摂って寝るの繰り返しの生活にもう一度、生きる意欲を取り戻すきっかけ作りをしていきましょう。
利用者との会話から“意欲がよみがえる瞬間”を見つける
まずは、利用者一人ひとりとのコミュニケーションからスタートです。コミュニケーションとはただ雑談するということではなく、目の前にいる方はどんな性格で、どんな生活を送ってきたのか、何が好きだったのか、今は何を思っているのか。様々な思いに耳を傾けて、会話の中でその方の意欲がよみがえる瞬間を見逃さないようにしましょう。
一人一人意欲を取り戻すきっかけは違う
ここからは私の経験談ですが、以前、40代で脳梗塞を発症し生きる希望をなくした方に出会いました。関わりを持たせていただいて3ヶ月、「PCの操作」というきっかけで大きな変化が起きました。
その方は元IT社長。私は何気なくPCの操作を聞いたのです。すると、いつもはほとんど会話をしてくれないのに、その時はとてもお話しをしてくれました。そのとき気づいたんです。その方にとって仕事が生きがいだったこと。次の日からPCで書類を作るお手伝いをお願いしました。後遺症で利き手でない左手での操作ですが、PCは左手1本で可能です。好きなこと、得意なことをやることで表情は見違えるように変わり、会話が増えていきました。
意欲には身体と行動がついてくる
そうなると早いのです。「もう一度会社に戻りたい」という目標ができて、リハビリを自ら積極的にするようになったのです。自ら意欲を持った人には、早く結果がついてきます。半年後には役員会に車いすで参加し、そして1年後には毎週の会議に参加し、そして介護保険の利用をしなくてもよい状態になりました。
相手との関係性をつくることできっかけを作り出すことができます。ただ、焦りは禁物です。hisaeさんは入社3か月。今はまだ答えはでないのは当然です。あわてなくて大丈夫。色々な場面、場所に電波をはり試してみて下さい。必ず自分の中で気づくことができると思います。
藤井 寿和 (合同会社福祉クリエーションジャパン代表)福祉業界に「つながり」をクリエイトするをコンセプトに、介護の現場と異業種をつなぎ、介護サービスの向上のための様々な事業を手掛ける。 社会参加型デイサービス 運営サポート/レクリエーション介護士 公認講師(東日本エリア)
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