14年の介護キャリア、100箇所以上の様々な施設を知る藤井寿和さんが「介護の現場で長く楽しく働くヒケツ」をアドバイスするシリーズ。
認知症の利用者のひと言から立ち直れず、離職してしまったことに悩む、たか子さんからの相談です。
認知症の利用者に泥棒扱いされて、退職してしまった。
周りが味方になってくれなかったのでは?
泥棒扱いされたというのは、辛かったですね。現場経験のある方ならきっとお気づきだと思いますが、こういった言動を利用者本人から受けるだけなら、耐えられます。しかし退職するほどだと、少なからず孤独を感じてしまったのですね。上司や同僚が味方になってくれなかったという状況が想像できます。
職員みんなで対処を考えることが大切
なぜ、孤独に陥ったのか。たか子さんの場合、おそらく一人で抱え込んでしまい、周りの職員にも「味方になるほどの情報がなかった」という可能性が考えられます。
このような「物が取られるという幻覚」がある利用者については、言動のきっかけや理由、タイミングについて職場のスタッフ皆で話し合いましょう。そのような状況にならないように、未然に防げばよいのです。
事前に共通認識を持っておくことで、いざトラブルが起きた時にも、チームとしての対応につながりますし、もちろん皆が味方になってくれます。
利用者の言動に傷つかないために“ココロの準備”を
予期せぬことが起きると、人はショックを受けてしまいます。認知症の方と接していると起こり得る可能性のある出来事を想定して、覚悟をしておきましょう。
なお、認知症の方が事実と違うことを言っても、無理に説得しなくてもよいです。なぜなら、認知症の方にとってはそれが事実。否定をせずにお話を聞いて、心が落ち着くのを待ちましょう。
藤井 寿和 (合同会社福祉クリエーションジャパン代表) 福祉業界に「つながり」をクリエイトするをコンセプトに、介護の現場と異業種をつなぎ、介護サービスの向上のための様々な事業を手掛ける。 社会参加型デイサービス 運営サポート/レクリエーション介護士 公認講師(東日本エリア)
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