対応を間違うと悪化の恐れあり？水虫に関する3つの誤解

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介護職員にとっては身近な病気である水虫。予防法や見分け方についてはご存知の方も多いのではないでしょうか。しかし「間違った知識を持つ方も多い」と話すのは、おくだ皮膚科クリニック院長の奥田知規先生。そこで今回は、奥田先生に「水虫に関する3つの誤解」を解いていただきました。日頃接している利用者さんのため、そして何よりご自身のために、正しい対処法を学びませんか？

水虫に感染する経緯としては、「水虫の方の皮膚がはがれおち、それが足などに付着する」というのが一般的です。ですからお風呂マットなどが一番移りやすいですね。しかし皮膚についてすぐ感染するわけではなく、48時間以内に洗い流せば水虫になることはまずありません。ただシャワーでさっと流すだけでは付着した皮膚は取れないので、しっかり洗い流す必要があります。

水虫対策としてウエルパス等で消毒をする方もいますが、これは意味がありません。なぜなら水虫の原因となる白癬菌は「真菌=カビ」だからです。食中毒などの原因となる「細菌」には消毒は効果はありますが、真菌には無いんですよ。
では真菌を殺すためにはどうすれば良いのか。カビが弱ることをやればいいんです。カビが好む環境は「高温多湿」ですから、逆にできるだけ乾燥させる、これが効きます。あわせて太陽の光にあてることも効果的です。例えば靴なんかを2〜3時間天日干しにすると、白癬菌は死滅します。あとは毎日同じ靴を履いていると靴がしけってくるので、2〜3日のローテーションで履いて1日乾燥させる時間をつくるのも良いですね。

水虫というと、指の間がじゅくじゅくする、小水疱のプツプツができる、かゆみがある、というイメージがあるかもしれません。しかし、それにあてはまらない形の水虫もたくさんあるんです。

例えば「角質増殖型足白癬」。これは皮膚がただ硬くなるだけです。かゆみがほとんどないので、本当に気づきにくいんです。足が硬くなったのでヤスリで削っても全然きかず、病院で検査したら実は水虫だった、という女性も多いんですよ。
あとは「爪白癬」。これは爪が厚くなり、白っぽくなったり黒っぽくなる症状が出ます。爪白癬の場合もかゆみがありませんし、爪が厚くなったり変色するのは老化の一種の場合もありますので、なかなか気づきにくいですね。
その他には爪が曲がってしまい痛みを伴うことが多い「爪甲鉤湾症（そうこうこうわんしょう）」。これも原因が老化の場合もありますが、白癬菌がもとになっている場合もあり、判別しにくいです。
また、水虫は足だけにできると限りません。水虫にかかった部位の割合を見るともちろん足が66％と多いですが、上記の爪水虫も18％、手が3％、割合はもっと低いですが頭や顔に症状がでることもあります。

介護職員の方には、水虫には色々種類があるということを知ってもらい、利用者さんに水虫の可能性があるのであればできる限り医師に受診させるようにしてほしいと思います。

皮膚にできる水虫は塗り薬で治ることが多いですが、爪水虫はまず塗り薬では治らず飲み薬が必要となります。健康な方でしたらあまり問題はありませんが、体が弱っている高齢者にとっては内服薬は負担となります。爪水虫は足の水虫にいる白癬菌が供給源になることも多いので、足水虫が疑われる場合は早めに受診をさせることである程度防ぐことができます（もちろん足の水虫を伴わない爪水虫もあるので一概には言えませんが）。爪水虫はかゆみはありませんが、爪が曲がってしまい痛みが出ることもあるので、高齢者は特に感染しないよう注意してください。

また、水虫だと自己判断して市販薬を使用したが実際は水虫ではなかった方や、水虫ではあるが状態にあわない市販薬を使ってしまった方が、症状がだんだん悪化し、最終的に来院されるというケースも多々あります。
介護職だと忙しくて時間をとるのが難しいかもしれませんが、しっかりなおして快適に過ごしていただくためにも、「水虫かも？」と思ったら早めに受診してもらいたいです。女性は抵抗があるかもしれませんが、水虫の男女比は実は半々なので、恥ずかしがらず病院に行ってくださいね。

介護職netコラムについて介護職netコラムでは、介護職netに掲載している求人情報からの情報と、編集部が集めた情報を元に記事を作成しています。

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