なにかとややこしい介護保険ですが、介護職員ならば知っておかないと損してしまう可能性があるのが「介護職員処遇改善加算」。今回はこの加算について詳しく見ていきましょう。
介護職員の生活に直結するのが、「介護職員処遇改善加算」
介護保険の中で、一般の職員に直接関係するのが「介護職員処遇改善加算」です。
これは介護職員の賃金改善を図ることを目的とした加算です。自治体から直接交付されるのではなく、
加算分は介護報酬に上乗せされる形をとっています。
2012年から始まったこの制度。2015年4月に行われた介護保険改正により、加算の最高額は介護職員1人あたり月額 15,000円程度だったものが、
月額12,000円程度上乗せされ、月額27,000円程度に変わりました。(介護職員処遇改善加算Tの場合)
あなたの事業所は加算されている?掲示をチェック!
しかし、加算は必ずしも全事業所で行われているわけではありません。
加算を受けるためには、“「このように職員の給料を上げました」という具体的計画を自治体に提出する”等、いくつかの要件を満たす必要があります。
この要件の1つに、“加算を取得する旨を書面にて全職員に通知する”というものがあります。
ですから、加算をとっていれば処遇改善の具体的計画が事業所のどこかに貼ってあり、職員が見られる状況になっているはずです。
中には事務所の奥など職員があまり足を踏み入れない場所に書面を掲示し、加算を取得していることを実際には周知させないようにしている事業所もあるようですので、注意しましょう。
なお誤解されやすいのですが、加算は毎月の給与に反映されるとは限りません。
期限まで働けば一時金として支払います、といったケースや、ボーナスに加えられて払われるケースなど、支払い方は各事業所に一任されています。
対象も、本来は一般の介護職員が対象でケアマネや調理師などは外されているのですが、加算分をプールして職種関わらず全職員に支給する事業所もあります。
それらも全て計画書にまとめて掲示することになっています。
もし、給与明細などに処遇改善手当に関する記載がない、掲示がされていない、といった場合は
加算を取っているかや、今後取得する計画はあるのかなど、問い合わせてみることをおすすめします。
職員の中には基本給と賞与しか気にされない方もいらっしゃいますが、手当を支給される権利があるのだ、ということをまず認識してもらいたいですね。
知らなければ、正当な権利を受けられていなくても、次のアクションを起こすことができないわけですから。
給与をあげるための第一歩は、情報を仕入れること
加算だけでなく、自分で給与を上げるためになにかしたい、という方は
いち早く情報をキャッチすることを心がけるようにしましょう。
まず必要な情報というと、厚生労働省など政府の動向です。
介護職員のキャリアプランや給与改善は、介護保険という国が定めた枠組みにかなりの部分しばられているため、省庁が新たにつくった制度などに上手く乗っていくのが一番効果的なんですよ。
例えば今上位資格として認定介護福祉士をつくろうという動きがありますが、これを取得すれば給与はあがる確率が高い訳ですよね。
政府が発信する情報に注意して動いていくことが給与アップへの確実なルートだと思います。
他には、スキルアップのための情報も進んで収集するようにしましょう。例えば、認知症の方への対応もどんどん知識や方法が確立されてきていますよね。
その方法論を知っている人と知らない人では、仕事内容や質に大きく差が出てくるため、最終的に給与に反映される可能性は高いでしょう。
しかし、いくら情報が集まっても行動を起こさなければ意味はありません。
情報を収集したら「こんなことがやりたい」と事業所に働きかけていく。
それが難しいのであれば、個人でセミナー等に参加して知識や経験をどんどん積み上げていく。
そうした積極的な姿勢が、個人で給与を引き上げる際には必要になるのだと思います。
※本記事に掲載されている情報は、2015年11月時点のものです。最新情報は、厚生労働省HPなどで確認してください。
なお介護職netコラムでも、皆様に周知すべき情報がありましたら随時お知らせいたします。
脇 俊介有料老人ホーム検索サイト『MY介護の広場』相談員。施設への入居を検討されているご本人やご家族の相談を受け、今までの生活スタイルや地域、ご予算などを考慮してその人にあった施設を提案している。
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